松野「奥内の棚田」重要文化的景観に答申 来春、正式選定へ
国の文化審議会(馬渕明子会長)は18日、愛媛県松野町蕨生の「奥内の棚田及び農山村景観」(370.3ヘクタール)を重要文化的景観に選定するよう、松野博一文部科学相に答申した。2017年3月ごろまでに正式選定される見通し。
「奥内の棚田―」は、広見川上流部の奥内川沿いの山間部に位置し、江戸時代中期以降に形成された棚田約150枚を含む4つの集落で構成される。1999年には農水省の「日本の棚田百選」に選ばれた。
景観選定に際し「四国山間部の厳しい地形条件の中で江戸時代以来現代まで継続されてきた生活または生業を知る上でも重要」と評価された。
県内の重要文化的景観の選定は、宇和島市遊子の「遊子水荷浦の段畑」に続き2例目。選定により、景観の保存活用のために行われる整備、普及・啓発などの事業に対し、国庫補助が受けられる。
松野町の文化的景観調査指導委員会で副委員長を務めた、京都府立大の上杉和央准教授(歴史地理学)は、「棚田を含めた地域全体の景観が選定されたことで、もう一段上の文化財となる」と評価。「江戸時代の下札帳や明治期の畝順帳などから、この地区の成立以降、規模や生活様式などに大きな変化がない。今の景観が、長らく、徐々に作り上げられたことの表れだ。一方、高齢化、過疎化という現代的な問題があるのは間違いない。単に棚田を保存するだけでなく、地域づくりが今後のポイントだろう」と話している。
また同日の審議会では、国史跡「永納山城跡」(西条市河原津)について、城跡北端にある城門推定地の北側隣接地(約607平方メートル)を追加指定するよう答申した。